メディア企業ほど優秀な企画営業が必要――ITmedia×津田大介の就活イベントを振り返る
アイティメディアで12月6日、就活イベント「メディア志望の就活生が今、知っておくべきこと」を開催しました。
登壇者はジャーナリストの津田大介氏、アイティメディアの石森将文エンタープライズ統括部長で、司会は同社の浦野平也採用担当部長が務め、「必要なのはコンテンツだけじゃない!」をテーマに、「メディアビジネスの現状」「広告ビジネスの捉え方」「今後のメディア企業に求められる人材」「アイティメディアの印象」の4部構成で議論。就活生の意見を聞きながら展開したクロストークも盛り上がりました。
左から石森氏、津田氏、浦野氏
イベントはトークテーマごとに質問事項を設定。その答えをスケッチブックに書いて意見を表明し、話をするスタイルが取られました。
第一部の質問は「現在のメディア業界で気になるビジネス上の変化/トレンドは何ですか?」で、津田氏は「ようやくネットの情報にお金を払う人たちが出てきた」と指摘。これまでの“ネットの情報は無料”という常識が崩れ、課金をする土壌がだんだん整ってきていると発言しました。
ネットの情報への課金が進んだ理由は、SNSのタイムラインに流れる情報について、興味を持った瞬間購入できる仕組みや文化が発達し、消費者の購買の流動経路が変わったから。有料メルマガや「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の編集者・加藤貞顕氏が立ち上げた、インターネット雑誌「cakes(ケイクス)」など、有料の情報配信プラットフォームが浸透し始めていることからも、その流れがうかがえると言います。
SNS時代となって変化したメディアの有り様を解説する津田氏
ちなみに津田氏の著書「Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流」や「ウェブで政治を動かす!」は書籍よりも電子書籍版の方が売れ行きがよく、売上比は5倍にもなるそうです。ネットやソーシャルメディアの最前にいる津田さんの著書だからこそ、あり得る結果なのかもしれませんが、ネットの情報にお金を払う人がこれだけ多いというのには驚きです。
第二部「広告ビジネスの捉え方」では、メディア企業における企画営業の重要さに両氏が言及しました。ネットは“開かれている”ので、放っておけばコンテンツは勝手に売れて行くと思われがちですが、津田氏は運営するニュースメディア「ナタリー」も「企画営業を入れてから明らかに(売上が)変わった」という経験から、「メディア企業ほどいかに優秀な企画営業を連れてくるかが重要なポイント」と発言。もしかしたらメディア企業でも「企画営業が一番クリエイティブで面白い職業かもしれない」と就活生にアドバイスします。
その発言に対し石森氏は、「もともとメディアって黙って売れるような構造になっていない」ので、きちんと情報やコンテンツに付加価値を付けて良さを伝える必要があり、その役目を大きく担っているのが企画営業であると賛同していました。
企画営業といえば、アイティメディアの14新卒採用では、最初の配属に企画営業職を予定しています。将来的に次世代のメディア作りをプロデュースしていただきたいと思っており、そのためにはコンテンツやサービスを用意し、ユーザーに届ける仕掛けを備え、かつそこでお金が回るようにすること、つまりメディアにおけるマネタイズ感覚を若いうちから身に付けることが重要と考えているからです。
第三部「今後のメディア企業に求められる人材」では、石森氏が仕事を右から左に流さないで、「付加価値を付けられる人」が欲しいと意見していました。例えば企画営業なら、情報やコンテンツを「(広告)枠に載せておしまい」、編集記者なら知り得た事実を「ただそのまま書いただけ」では、既存のオペレーションに則ってこなしているだけで、まさに仕事を右から左に流しているようなもの。それをしない「付加価値を付けられる人」というのは、業務における目的達成のために、自分の色を出したり、新しいことをやれるかに挑戦し続けられる人を指しているのだと思います。
「付加価値を付けられる人」と石森氏
記事を書くだけ、広告を枠に載せるだけといった「ただメディアに露出させるだけ」の手法では、ターゲットにきちんとコンテンツを届けるのは難しいです。なぜなら、たくさんの情報に溢れる現代において、人々は幾多の情報の中から見つけださなければならないからです。両氏も言及していましたが、「ターゲットに遡及する工程を視野に入れた上で、コンテンツを作らなければならない」など、メディア企業に勤める人には、仕事へのクリエイティビティーや戦略性が今一層求められています。
簡単にまとめてみましたが、詳しいイベントの内容を知りたい方は、Ustreamのアーカイブ動画で当日の模様を視聴できますので、そちらからどうぞ。イベントの流れを把握したい方向けに、関連ツイートをTogetterでまとめたものも用意しています。ご覧いただいた皆さまからのイベントレポートをはじめ、ご意見ご感想お待ちしております。
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会場は満席となり、大盛況となりました。ありがとうございました!