あおいちブログ

ITmedia新卒採用担当のブログです。

アイティメディアという会社の「生き方」

学生の皆さん、こんにちは。アイティメディアでは先日、2015年3月に卒業予定の皆さんを対象に会社説明会を開催しました。本日は説明会の内容をおさらいしながら、アイティメディアがどういう会社なのかということや、必要としている人材像についてあらためてご説明したいと思います。

ターゲティング・メディアの会社です

 すでにご存じの方も多いかと思いますが、アイティメディアはWebというメディア(媒体)を通してニュースや解説記事を発信している会社です。Webでニュースを発信すると言えば、最近は大手新聞社やテレビ局もやっていますね。ではアイティメディアがやっていることはそういった会社と変わらないのか? と疑問に思う方もいるかもしれません。

 答えを先に申し上げますと、違います。大手新聞社やテレビ局は、不特定多数の読者を想定して情報を発信しています。大ざっぱに言ってしまえば、日本語を理解するすべての人に向けて情報を発信しているということです。

 アイティメディアが発信している情報は、「プログラム開発者」や「企業の情報機器導入担当者」など、特定の専門分野を持っている人に対象を絞ったものばかりです。特定の分野について深く突っ込む情報を発信していくと、その分野の情報を強く求める人が読者として集まります。このように特定分野の情報を発信するメディアを「ターゲティング・メディア」と呼びます。アイティメディアは、およそ30の専門情報サイトを運営しているターゲティング・メディアの会社です。


“特定の人たち”に届ける広告

 現在のところ、アイティメディアは広告収入を主な収益源としています。情報を発信するWebサイトに記事とともに広告を出し、広告主からお金をいただいているわけです。

 Webサイトに広告を出して収益を上げている企業はほかにもたくさんあります。大手新聞社やGoogleなど、アイティメディアよりも大規模に広告ビジネスを展開している企業も少なくありません。その中でアイティメディアが広告ビジネスで収益を上げていけているのも、ターゲティング・メディアを運営しているからです。

 先に説明した通り、ターゲティング・メディアには特定の分野の情報を求める人が集まります。ユーザー総数は決して多くありませんが、特定の話題について「深い」議論ができる人たちばかりです。広告主はこのようなユーザーを集めているサイトを、広告を通して詳細な情報を伝えられるサイトと評価してくれます。

 ネットワーク機器やサーバーのメーカーが広告を出そうと考えているとします。1人でも多くのユーザーに広告メッセージを届けたいと考える場合、大手新聞社など大量のユーザーを抱えている企業に広告を出すでしょう。しかし、この考え方が正解かというとそうとも限りません。

 膨大な数のユーザーを抱えているメディアは、先に述べたように不特定多数のユーザーに向けて情報を発信しています。その情報とともに発信する広告も不特定多数のユーザーに届きます。ネットワーク機器やサーバーがどんなものか知らない人にも広告メッセージが届くわけです。

 あなたのところに、あなたには何の関係もない商品の広告が届くところを想像してみてください。あまり気持ちのよいものではありませんね。その広告に特別な注意が向くということもないでしょう。むしろ視界から消し去りたいと感じるかもしれません。

 一方ターゲティング・メディアなら、特定の話題について情報を求めている人や、詳しい話ができる人がユーザーとして揃っています。例えばアイティメディアが運営しているサイトの中でもTechTargetジャパンは、ユーザーの大多数が企業情報システムの責任者や、責任者に助言する立場にいる人たちです。

 このようなサイトに広告を出せば、本当に情報を必要としている人たちに広告メッセージが行き渡ります。さらに、ネットワーク機器やサーバーなどの情報システムについてよく知っている人が揃っているので、製品の細かい情報まで伝えることができるのです。ターゲティング・メディアはこのように高い広告効果が期待できるので、広告主が好んで広告を出してくれるわけです。


当たり前ですがビジネスとしてやっています

 しかし、ターゲティング・メディアを運営していくことは簡単ではありません。まず、専門情報について分かりやすい形で発信できなければ話が始まりません。また、専門情報を発信すると言っても、1回限りではユーザーが集まりません。ユーザーを集めるには情報を発信し続ける必要があります。

 情報を発信し続けるには、専門の編集担当者が必要ですが、これだけでは企業活動として成り立ちません。企業活動として成り立たせるには、第一に利益を上げる必要があるのです。これはすべてのメディア企業に共通することです。

 情報を分かりやすい形にまとめる編集担当者は貴重ですが、編集担当者だけでは利益を上げることはできません。広告を販売してくる営業担当者も必要です。Webサイトで情報を発信するには、Webサーバーを管理運営してくれる技術者も必要です。いろいろな人の人件費がかかるのです。ほかにも光熱費やオフィスビルの賃料など、企業活動を続けていくにはいろいろな場面でお金がかかります。

 アイティメディアもビジネスとしてメディアを運営している以上、利益を上げることを第一に考えます。そしてアイティメディアの主たる収入源は広告収入です。つまり広告主からお金を払ってもらってメディアを運営しています。

 こう書くと、「広告主にとって都合の良い情報しか流さないのでは?」と思う方もいるでしょう。アイティメディアは株式上場していますので、株主の言いなりになっているのではないかと思う方もいるかもしれません。しかしメディア企業としてそういうことはできません。

 広告主が広告を出してくれるのは、サイトにユーザーが集まっているからです。ユーザーは信頼に足るサイトだと感じて、集まってくれています。特定の広告主や株主だけに都合の良い情報を流すことは、その信頼を裏切ることになります。

 メディア・ビジネスの世界では一度ユーザーの信頼を失うと、取り戻すことはほぼ不可能です。ユーザーがいなくなってしまえば、そのサイトは広告主にとって無価値なものになってしまいます。つまり、ビジネスとして継続できなくなります。これは株主にとっては致命的なことです。

 私たちはユーザーからの信頼を集めて、広告主にサイトの価値をアピールし、広告を出してもらってビジネスを成立させているのです。遠回りに感じるかもしれませんが、ユーザーの信頼と広告主から見た価値を両立させるには、特定の広告主の言いなりになることはできないのです。


影響力のある個人の力も取り込む

 ここまで説明してきた内容は、メディア・ビジネスの中でも「従来型」に当てはまるものです。インターネットの世界は日々変化しています。最近はいわゆる「マスメディア」が発信する情報だけでなく、個人がブログやTwitterなどで発信する情報も価値を持つようになってきました。「もはやマスメディアは必要ない」「マスメディアは死んだ」と論じる人もいます。

 私たちが運営しているターゲティング・メディアも、多数のユーザーに情報を届けるという意味で「マスメディア」と言えます。では、私達のビジネスは早晩終わりを迎えるのでしょうか? 私たちはそうは思いません。しかるべき訓練を受けた編集のプロが作る記事は、誰にとっても分かりやすい形にまとまっています。読みやすく分かりやすい記事には普遍的な価値があるはずです。

 とはいえ、最近はGoogleなどの検索エンジンで検索した結果、トップに来るWebページから読んでいくという人が多いことも確かです。Twitterで友人が薦めてくれた記事を読んでいるだけで時間が過ぎ去ってしまうという人も少なくないでしょう。編集記事に価値があると言っても、そこまでたどり着かない人もいる時代になったわけです。

 このように日々変化していくインターネットの世界で生き残るには、従来のやり方にこだわっていてはダメです。新しい商売のあり方を探求していくことも大切なのです。

 アイティメディアでは、個人が発信する情報の価値に着目し、その力を会社の成長、発展のために取り込んでいます。最近の例では「ONETOPI」というサービスが挙げられます。これは、特定の狭いジャンルについて詳しい人たちを集め、その人たちが注目する情報を発信してもらおうというものです。

 このように、価値ある情報を選び出して発信するメディアを一般に「キュレーション・メディア」と呼びます。最近は、世間に流れるニュースの中から特定のアルゴリズムに従ってサーバーが「価値あるニュース」を選び出すサービスが登場しています。

 ONETOPIでは、あえて人手で情報を取捨選択するスタイルを取っています。ONETOPIが対象としている「特定の狭いジャンル」について価値ある情報を選び出すには、人手に頼るのが確かだと判断したからです。

 ONETOPIでは価値ある情報を発信してくれる人に報酬を支払う仕組みも用意しています。報酬が情報発信の動機となり、ほかにはない情報がONETOPIから流れるようになり、ユーザーは価値ある情報を手にできるようになるわけです。

 すでに成果を上げている事業としては、「エンジニアライフ」というブログメディアが挙げられます。エンジニアを対象にブログを書く場を用意し、参加を呼びかけた結果、面白いことを書く書き手が集まり、読者も集まりました。テーマとしては日々の仕事について思うところや、参考になる書籍、参加した勉強会、興味がある技術など、「エンジニア」という職業に就いている人なら共感できるものばかりです。今ではエンジニア同士の良い情報交換の場になっています。


なぜターゲティング・メディアを展開しているのか

 ここではアイティメディアがなぜターゲティング・メディアを展開しているのかというお話をさせていただきます。メディアで商売をするなら、ほかにも方法はあります。例えばヤフーは、アイティメディアとはまったく異なる形で商売を続けています。

 アイティメディアには「メディアの革新を通じて情報革命を実現し、社会に貢献する」という経営理念があります。これは、全社員が目指す目標のようなものと考えてください。

 ターゲティング・メディアを利用した広告ビジネスはインターネットの登場という「メディアの革新」があったからこそ実現できたビジネスです。そして私たちは、そのビジネスを推進することで社会に貢献することを目指しているのです。

 社会に貢献するとは、いったいどういうことを指すのでしょうか。私たちは情報技術の産業や、電子機械の産業に密接に関係するサイトをたくさん抱えています。それぞれの産業に向けて発信する専門情報は業界関係者にとって貴重なものであるだけでなく、新たな技術革新を呼び起こす刺激にもなると考えます。

 たとえ少しでも、私たちが発信した情報が技術革新を呼び起こす刺激になり、産業の発展に寄与すれば、すべての人々の暮らしを豊かにすることができると考えているのです。

 そして今、メディアの革新によって世界にさまざまな変化が起こっています。個人が発信する情報も価値を持つようになってきたという事実は、その一例として挙げられるでしょう。アイティメディアは今後、ターゲティング・メディアの可能性を追い求めながらも、まったく新しい形のビジネスを通して社会に貢献することに挑戦していくつもりです。

今後の成長、発展のために

 最後に、アイティメディアが求める人材像について説明しましょう。「記事を書ける」とか、「営業に必要な交渉術に長けている」などのように職種に密接に関係する能力よりも、「イノベーションを起こせる」ことを私達は重視します。

 先に説明したように、インターネットの世界は日々変化しています。その世界でビジネスを続けていくには、会社としても、個人としても変わり続けなければなりません。商売のあり方も変化していきます。極端に言えば、まだ誰も知らない方法でビジネスを成立させることが必要です。まだ誰も知らない方法でビジネスを成立させるには、ビジネスを、メディアを、人々の日常を変革(innovate)していく必要があります。

 こう書くと、イノベーションを起こすということがとんでもないことのように感じられるかもしれません。しかし私たちはイノベーションを起こすということを、ごく一部の人だけができることとは捉えていません。

 現状に問題を感じ、あるべき姿を思い描き、それを実現させるためにいろいろな人の力を借りる。小さいことかも知れませんが、これを繰り返すことで確実にイノベーションは起こせると考えています。大切なことは「自分で考えて行動すること」です。日々の暮らしに小さな問題を見付け出すことも、どう改善したらよいかを思い描くことも、実現のためにいろいろな人の力を借りることも、「自分で考えて」「自分で行動」するところから始まります。

 イノベーションは小さなことの繰り返しで起こせます。「インターネットの世界を変えてやろう」、「まったく新しいビジネス・モデルを打ち立ててやる」といった野望を持っている人。アイティメディアはあなたのような人を待っています。ぜひ、面接にお越しください!