「バーチャルイベント」「TechTargetジャパン」――既存の広告手法以外のビジネスモデルを解説(後編)
前回は、アイティメディアが取り組んでいる、既存の広告手法以外のビジネスモデルについてご説明しました。引き続き、同じテーマでお話していきたいと思います。
今回紹介するのは、上の図の3番目に当たる「サービスプロバイドモデル」です。サービスプロバイドモデルとは、サービスをクライアント提供して収益を得るモデルのこと。当社のサービスではネット上で展示会などのイベントを開催できる「バーチャルイベント」と、IT製品やサービスの導入・購買に役立つ情報を提供する会員制メディア「TechTargetジャパン」がそれに当たります。
「SoftBankBB Virtual Summit 2011」の歩き方
バーチャルイベント参加イメージ
バーチャルイベントは、展示会や見本市などを、ネット上に設けた仮想イベント会場で行えるサービスです。米国ON24社との業務提携の一環として提供しています。
フィジカルの会場で開催されるイベントは、期間は数日間に限定されているうえ、実際の会場に足を運ばなければならず、遠方からは参加しづらい等のデメリットがあります。ほかにも、広い会場を歩きまわるので疲れる、配られた紙の資料や交換した名刺の管理が大変、などなど……。バーチャルイベントなら、これらの問題を解決できるうえ、より効率的にイベントを開催・運営できます。
オンラインイベントを開催するメリットとは?
バーチャルイベント開催メリット
例えば、24時間いつでもどこでもイベントに参加できます。空いた時間に、何回かに分けてイベントを見て回ることができるので、参加率も高くなります。会場が広すぎて全ての展示を見きれない、なんてこともありません。講演は動画で視聴できるので、聞き逃した点があれば巻き戻しもでき、繰り返し見られます。資料はファイルで提供できるため、運営側と参加側ともに管理が楽になります。このほか、実際のイベント会場や人員、紙の資料を必要としないため、コストの削減につながります。
さらに、参加者属性の分析も可能なので、今後のマーケティングに役立ちます。また、フィジカルのイベントの場合、講演を聞いてくれたり、資料を受け取ってくれた参加者であっても、名刺交換できないと、運営者側はフォローの連絡を入れられません。ですが、バーチャルイベントなら、参加申し込み時に予め連絡先を頂戴しておけるので、見込み顧客(将来的にお客さんになりそうな企業や人)を漏らすことなく対応できます。
TechTargetジャパン
TechTargetジャパンは、情報システムを管理する企業の方へ向け、IT製品やサービスの導入・購買に役立つ情報を提供する、無料の会員制メディアです。米国TechTarget社との提携事業の一環で提供しています。
情報セキュリティや、データセンターの運用管理、コンプライアンスといったテーマの記事を配信しており、アイティメディア内の編集部で書かれた記事や、米国TechTarget発の特集記事、企業から発信される情報が掲載されています。
TechTargetジャパンには、企業が取り扱う製品やサービスの、販促を目的とした情報資料(ホワイトペーパー)を置ける「ホワイトペーパーダウンロードセンター」が設けられています。ホワイトペーパーには、製品情報のみならず、詳しい技術情報や業界動向も書かれているため、会員はそれをダウンロードすることで、通常の記事よりも深い知見を得ることができます。また、何種類もダウンロードすれば、製品選択の参考にもなります。
ホワイトペーパーを掲載する企業にとっては、どんな企業の、どんな部署の、どんな役割の人が自社の資料をダウンロードしたかや、ほかにどんな情報を収集しているかが分かるため、マーケティングに有効活用できます。ダウンロードしたユーザーや、その企業・業界に提案営業へ行く際には、事前に収集した情報が役立ちますし、自社製品の制作にも生かせます。
サービスプロバイドモデルの良さって?
つまるところ、「バーチャルイベント」と「TechTargetジャパン」などのサービスプロバイドモデルは、マーケティングツールとしての属性が価値になっています。タイアップ記事やバナー広告でもマーケティングするのは可能ですが、サービスプロバイドモデルほど、顧客の情報を得たり、見込み顧客に手厚いフォローを入れることはできません。
アイティメディアは、メディアとして永続していくため、ここにあげたビジネスモデルはもちろん、新しいビジネスモデルにチャレンジしていかなければなりません。それを考えるためには、メディアをビジネスとして捉える視点が重要です。2月9日に開催する説明会では、メディアをビジネスとして考えるための基本的な思考や、我々の考え方を共有したいと思っています。